閣議決定 法人税実効税率25%へ??
- 記載 : 吉水 彰
- カテゴリ : 税務
参院選が近づき、各党の公約が出始めておりますが、その中で昨今、菅首相の発言で話題になっております、法人税の引き下げと消費税引き上げの論点について、私見を述べさせていただきます。
そもそも、現在日本の法人税率は先進国の中ではアメリカと並んで実効税率が約40%と最高水準であります。法人税減税理由は、高税率の結果、企業内部留保が高まらず、結果として研究開発などが遅れ、企業の国際競争力が低下する事を阻止する事および、現状の高い法人税のままでは、企業が税の低い国に本社を移転するといった企業自体の国外流出が進む事を阻止する事が挙げられます。
この点については、グローバル化が進んだ現在においては、他先進国に同調していかざる得ないと思われます。(この点については、公定歩合や国債金利についても同様のことが言えますが・・・)
また同時に消費税増税が話題に上がっておりますが、この理由は主に社会保障を手厚くするためとなっております。これは、法人税減税との兼ね合いとは選挙前にしてはっきり述べる事ができないのだと思われます。他先進国で法人税率が低い国家は当然に消費税(特に食品以外)は日本より高くなっております。つまり、国家維持のためには、一定水準の税収が必要なわけで、その内訳をどの税で徴収するのかの議論であります。
日本は、間違いなく将来的には欧米諸国に習った、法人税↓・消費税↑の方向に向かっていきます。
また、置き去りにされている所得税・相続税も今後、随時変更されていくかと思われます。
少なくとも、所得税については法人税↓にならって減税されなければ、個人事業主と会社の形態の違いによって税額が大幅に変わる、及び役員報酬と企業内部留保のバランスにも大きな影響を与えることになり、われわれのクライアントへのアドバイスにも留意が必要になってきます。
経済の混乱期である現在は、戦後から高度経済時に構築された経済の仕組みとそれを前提にしていた税制を抜本的に見直す時期を迎えているのでしょう。
仕組みの変革には、過去の既成概念を捨てて、変化に対応する柔軟さが大切かと思います。
参考HP・・財務省HP国際比較 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/hikaku.html